「遭難する人は自信過剰なんですよ」閉山中の富士山で相次ぐ無謀な登山 2248回登頂の「ミスター富士山」實川欣伸さんが指摘する危険性
May 16, 2026•Channel
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閉山中の富士山で登山者の遭難が相次ぎ、救助活動に伴う二次災害のリスクなどが問題となっています。富士山の登頂回数2248回を誇る"ミスター富士山"こと實川欣伸(じつかわ・よしのぶ)さんは、「遭難者は自信過剰」と厳しく指摘します。
■救助隊が夜通しで対応することも
静岡県警によりますと、富士山の静岡県側では2025年9月の夏山シーズン終了後から2026年5月15日までの間に少なくとも8人が遭難し、この内2人が死亡しています。
外国人の遭難も後を絶たず、3月には外国人3人組が山頂付近からスキーをしていた際、スウェーデン国籍の女性(23)とニュージーランド国籍の男性(51)が滑落。
大型連休中の5月3日には旅行で来日して知人と登山をしていた中国国籍の男性(23)が富士宮ルートの九合目付近で滑落しました。
■「死にに行くようなもの」ミスター富士山が指摘する危険
これまで富士山に2248回登頂し、「ミスター富士山」として知られる登山家・實川欣伸さん。御年82歳で世界の山々でも経験を積んだレジェンドは、閉山中の富士山で遭難してしまう人の多くが"初心者"だと話します。<實川欣伸さん>
「遭難する人は基本的には素人。中には雪が凍結してアイスバーンになっているのにアイゼンをつけずに登る人もいる。そういう人は滑落します。滑落はしなくても、アイスバーンで滑って打ちどころが悪くて亡くなった人もいます。はっきり言って、閉山中の富士山で遭難する人は自信過剰なんですよ。そこが遭難の一番の原因です。『俺は大丈夫』、それでみんな遭難します」
「風、アイスバーン、落石、雪崩、山頂の灯籠が倒れるほどの突風が吹くこともある。さらに閉山中は山小屋が営業していない。夏山と違って初心者でも登れるような山ではありません」
■知識と経験が不足「死にに行くようなもの」
警察の聞き取りに対し、1月に単独登山で負傷した中国国籍の男性(20)は「冬の富士山は初めて」「日本一の山に登りたかった」、4月に滑落したポーランド国籍の男性(31)は「登山道が閉鎖されているとは知らなかった」などと話したといいます。閉山中の富士山では、知識と経験が明らかに不足している人が遭難しているという現状があります。<實川さん>
「10年ぐらい前、七合目あたりで1人の若い女性とすれ違いました。その方が『恋人が1月に富士山で遭難して亡くなったから遺品を探しに来た』と言うんです。亡くなった恋人は富士山での登山経験がどのくらいあったのか聞くと、『夏山3回ぐらい』と言いました。滑落してしまう人は大体その程度の経験で冬山に登ってしまう。全員が全員ではありませんが、滑落する人は怖さを知らない。死にに行くようなものです」
「己を知り、相手を知る。仕事でも山でも一緒ですよ。この山はどういう山なのか、自分の技術や体力で登れるのか。判断する知識と経験がないのに登る、それが問題です」
■独立峰ならではの強風・危険予知の重要性
閉山中の富士山は気象条件が厳しく、山小屋も営業していません。富士山の特徴のひとつが風の強さで、山脈の場合は隣接する山が壁となって風が弱まることがありますが、独立峰の富士山の場合は強風が吹きつけ、風を避ける場所もほとんどないといいます。遭難した人の中には「富士山以外の山で多少の登山経験があった」と話す人もいますが、實川さんは「まったくあてにはならない」と警鐘を鳴らします。
<實川さん>
「山域によってぜんぜん条件が違いますから。北海道の山、東北の山、富士山、中国地方の山、ぜんぜん違います。よく遭難した方の登山歴が15年とか20年とかって出るじゃないですか。重要なのは、どういう山でどういう時期に登っていたか。夏山の経験なんてなんの役にも立たないです。K2だろうがエベレストだろうが、ベストシーズンで天気のいい日の登山経験なら何の関係もないんですよ」安全のため、「常に危険を予知しながら登っている」と話す實川さん。登山開始の直前でも風が強く危険だと判断した場合は登山を中止し、登山中でも中断して引き返すことがあるといいます。
その判断ができず、知識と経験、そしてモラルが欠けている一部の登山者に閉山中の富士山の危険をいかにして伝えていくか。世界中から多くの人が集まる日本一の山には、大きな課題が残されたままとなっています。
詳細は NEWS DIG でも!↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2663685