結局、日本語は乱れているのか?
May 26, 2026•Channel
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Published1 month ago
Duration32:14
Video IDq0IMJI6emLE
Languageja
CategoryEducation
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Description
【高田先生の新刊のご予約はこちら!】
◯文法、どこにありますか?
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「違くない?」「尊みがある」など、日本語の乱れと言われがちな表現を高田先生と全力で擁護しました。
【目次】
00:00 違くない?違うくない?
08:32 「違うくない?」は違くない?
17:28 ヤバみ・尊み・バブみ
22:06 「さ」は客観的・「み」は主観的
26:03 高田先生の新刊が出ます
【高田祥司先生】
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【高田先生からの補足コメント】
監修者の高田です。沢山の方にご覧いただき、ありがとうございます!
今回の動画について、少々補足させてください。
「くない」のように、形容詞の活用語尾が再分析されて文法形式が生まれる現象は、日本語の変化の中で珍しいことではないとした上で、中央語の「けれども」の例を挙げましたが、同様の例は方言にも見られます。
東北方言では、形容詞が活用しなくなる「無活用化」が進んでおり、標準語で活用語尾が変化して作られる語形も終止形を含みます。それによって、活用語尾に相当する部分以下が接辞のように捉えられます。秋田方言の例を示しましょう。
【標準語】 【秋田方言】
寒い さんび [さんび]
寒くない さんびぐ/ね → [さんび]ぐね
寒かった さんびがっ/た [さんび]がった
寒くて さんびく/て [さんび]くて
方言によっては、活用語尾に相当する部分と後に続く語が一緒になって独立しており、秋田方言では、形容動詞に「くて」が付いた「やんだくて[嫌で]」のような表現が見られます。
山形県置賜地方(米沢など)の方言では、この変化によって、次のような表現が生まれています。
・(壊れていた)そのスピーカー、聞けるぐなったの[聞けるようになったの]?
・よぐ酒、飲むがった[飲んだものだ]。【過去の習慣】
・今少しで飲むがった[飲むところだった]。【過去の非実現】
ここでは、形容詞の語尾に由来する形式が動詞に使われています。「飲むがった」は、それが表す意味が標準語では「飲んでいた」とも表現できるので、形容詞のような状態性の述語になっていることが分かりますね。
話の展開をスムーズにするために割愛しましたが、以上のようなことも念頭に置いていました。「違くない?」「違うくない?」関連の参考文献に東北方言を扱ったものが含まれているのは、そのためです。
引き続き動画をお楽しみください!
【参考文献】
■「違くない?」「違うくない?」関連
○井上史雄(1998)『日本語ウォッチング』岩波新書.
「ら抜き言葉」や「違う」の形容詞化等、一般に日本語の乱れとされる表現の背後にあるメカニズムを平易に解説した一冊。
○堀尾佳以(2022)『若者言葉の研究―SNS時代の言語変化―』九州大学出版会.
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様々な若者言葉を分析し、その変化に一定のルールが見られることを論じた一冊。「~くない」の用法の拡大も取り上げる。
○飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編(1982)『講座方言学4 北海道・東北地方の方言』国書刊行会.
各地の方言の実態を記述したシリーズの一冊。東北地方各県の方言の概説に、形容詞が無活用化していることが見て取れる。
○高田祥司(2009)「東北方言の形容詞の過去表現―テンスとムードの出会うところ―」『国文学解釈と鑑賞』74-7,pp.124-132,ぎょうせい.
東北方言の形容詞の無活用化に言及した上で、それに関連する現象のうち、「高いっけ」のような過去形を取り上げた論文。
■「ヤバみ」関連
○遠藤織枝編(2018)『今どきの日本語―変わることば・変わらないことば―』ひつじ書房.
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「ヤバい」「すごいきれい」「~みたいな」等、最近問題になる表現に関する、生の談話資料に基づく考察をまとめた一冊。
○宇野和(2015)「Twitterにおける『新しいミ形』」『国文』123,pp.106-94,お茶の水大学国語国文学会.
「み」が従来は付かなかった形容詞に付く新用法に関する論文。この用法が2007年から見られ、2010年代に拡大したとする。
○杉岡洋子(2005)「名詞化接辞の機能と意味」大石強・西原哲雄・豊島庸二編『現代形態論の潮流』,pp.75-94,くろしお出版.
形容詞を名詞化する「さ」「み」の違いを述べた論文。「み」が固有の意味として「具体的な感覚」を表すことを指摘する。
○加藤恵梨(2018)「感情を表す『さ名詞』と『み名詞』について」『社会言語科学会 第42回大会発表論文集』,pp.141-144.
https://conference.wdc-jp.com/jass/42/contents/common/doc/P-04.pdf
感情を表す名詞「~さ」「~み」に関する論文。前者は他者と共有できる一般的な感情、後者は個人的な感情を表すとする。
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【堀元見プロフィール】
慶應義塾大学理工学部卒。専攻は情報工学。理屈っぽいコンテンツを作り散らかすことで生計を立てている。
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【水野太貴プロフィール】
1995年生まれ。愛知県出身。名古屋大学文学部卒。専攻は言語学。本業は雑誌編集者。著書に『会話の0.2秒を言語学する 』(新潮社)などがある。Podcast「神保町で会いましょう」のパーソナリティも務める。
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