勤務実態ない98歳の“相談役”に月48万円の給与 高級温泉の接待や介護報酬の不正請求も 介護業界の“闇”

Jul 10, 2026Channel
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地域福祉の要であるはずの場所で浮上した不祥事。介護報酬の不正請求や、勤務していない相談役への給与の支払い、そして高級温泉接待など公金の行方に迫りました。 (愛知慈恵会労働組合 大道隆敏委員長) 「社会福祉法人として公金の私物化ですね」 愛知県一宮市に本部を置き、50以上の高齢者施設を運営する社会福祉法人「愛知慈恵会」。ここで起きているという不正を告発するのは、労働組合の委員長を務める大道隆敏さんです。 当時98歳だった“相談役”の不可解な勤務実績 大道さんが不審に思ったのは、相談役の勤務実態でした。 (大道委員長) 「適当に押されている。令和5年の4月は全部で1、2、3、4、5、6、7…8日間の出勤となっているが、給与明細を見ると出勤日は21日となっていて、かなりの齟齬がある」 支払われていた給与は、月額48万と高額。しかし、この相談役は当時98歳。要介護認定を受け、慈恵会の老人ホームに入居しています。現場で働くのは物理的に困難な状態だったのです。 (大道委員長) 「いちばん働いていない人が高い給料もらっている。すごくおかしい」 “相談役”は理事長の母親 付けていた日記には勤務実態なく… 去年3月まで相談役を務めていたこの人物は、理事長の母親。大道さんは、身内への利益供与を禁じる社会福祉法人法に触れるとして、愛知県に不正を告発。 (大道委員長) 「実際の勤務実態がなかったことを証明する(相談役の)日記です。毎日日記をつけていて、理事長が相談にきていた体をとっているが、ほとんど仕事をした記録はない」 理事長は、相談役の1年7か月分の給与912万円を法人の口座に返還しましたが、大道さんは調査の結果、勤務の実態がなかった期間は少なくとも6年、給与の総額は、約3500万円にのぼると考えています。 1800万円の不正請求 不在の看護師をいたことに書類を改ざん さらに、介護報酬の不正請求も行われていたといいます。 (大道委員長) 「別の事業所の看護師をその日いたことにして配置する。実際にはいない。いわゆる名義貸しをして、書類の改ざんをした」 書類の改ざんで、実際にはいない看護師をいたことにし、報酬を不当に多く請求していたのです。 その期間は、2022年から去年までのうち19か月間。不正請求の額は1800万円あまりに上っていました。 一宮市の勧告で介護報酬は返還されましたが、市は行政処分も事実の公表もしていません。一体、なぜなのでしょうか。 市は不正の公表も行政処分もせず (一宮市 指導監査室 鵜野治美室長) 「判明した基準の違反に対し、故意性、組織的関与、常習性、利用者被害の程度、悪質性などの項目を、それぞれの各項目の程度によって点数化している。返還金額も判断基準のひとつとなっている」 一宮市は、愛知慈恵会がこれにあたるのかどうかは答えませんでした。 金を返せば公表も処分もされず、不正を行った法人という事実は世間に知られないまま。これでは改善は進まないと大道さんは指摘します。 (大道委員長) 「接待を受けている監事の監査で、愛知慈恵会の問題は何も明らかになっていない」 「防災講座」の予定表には“キャンプファイヤー”が… 明細にはBBQやサウナも そもそも、社会福祉法人は「理事長」の職務を「理事会」が監視し、さらに「監事」が「理事会」を監査することが法律で定められていますが、愛知慈恵会ではこれが機能していなかった可能性が。 理事たちが参加した「防災講座」の予定表。キャンプファイヤーが行われたことになっています。支出明細には、バーベキュー、サウナ付きログハウスと水着のレンタルも。 また、「社員寮の視察」では、寮があるのは安城市のはずが、宿泊は岐阜の下呂温泉の高級旅館。他にも、接待でぐい呑み作りの体験も計上されていました。 専門家「ほとんどの法人は、そんなことは絶対にしていない」 こうした接待について愛知慈恵会は問題ないとしていますが、現在、第三者委員会が調査を行っています。この会計処理を専門家はどう見るのでしょうか。 (社会福祉法人に詳しい 𠮷野縫子税理士) 「ほとんどの法人はそんなことは絶対にしていない。どういう費用にお金をかけるのかによって、法人のサービスにダイレクトに影響する」 社会福祉法人の運営は、本来どうあるべきなのか。 名古屋市北区で、63年にわたり活動する「名北福祉会」(不正とは無関係)。 ここを立ち上げた小川志寿恵さん(88歳)は、保育園のなかった時代に、母親たちの声に応えて保育所を開所し、その後も事業を広げてきました。そもそも営利目的なのがおかしいと話します。 (保育所を立ち上げた 小川志寿恵さん) 「どんな施設でも困った人が集まって、考えながら作っていく。スタートが違う。ありえない」 (名北福祉会 佐藤悦弘理事長) 「何もないところから作ってきた施設や事業は国民の共有財産。地域のみなさんのものだという考えに立っている」 最悪の場合「虐待も起こりうるかもしれない」 不正によってゆがめられた経営のしわ寄せは、福祉の利用者に。 (大道委員長) 「法人に不満が募ると離職率が高くなる。次に来る人がいないので、仕事は大変なままで疲弊していく悪循環。もしかしたらストレスから虐待も起こりうるかもしれない。思いを込めてやっている人たちが、納得できるような働き方をしていくことで、初めて高齢者福祉は成り立っていく」 愛知慈恵会は、CBCテレビの取材に対し「第三者委員会による調査を受けているため回答を差し控える」とコメントしています。 公金と善意によって支えられている福祉の現場、何より透明性が求められるのは言うまでもありません。

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